転職活動を始める前に。転職・退局はまだするな!!〜転職・退局で失敗しないための21ヶ条

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転職活動を始める前に必ず!知っておくべきこと

NO.1 マーケットを知る

先生方にとって転職活動といえば、まず自分のやってきた経験や技術を踏まえて、希望条件に合った求人を探していくことをされる方が多いですが、その際最初に知っていただきたいのは、転職の市場(=マーケット)のことです。

転職市場は、売り手(求職者)と買い手(求人)のバランスで成り立っており、医師についてもそれは変わりません。したがっていくら先生が腕が良くりっぱな先生であったとしても医師が充足している地域であれば、その先生は必要ないということになります。

例えばそれを表しているデータとして『医師の人口10万人対医師数』いうものがあります。

これは各都道府県別に10万人の人口の中で医師数がどれだけあるかということを、表したものですが、例えば平成22年度の時点で医師数が多いのは1.京都府 286.2人、2.東京都 285.4人、3.徳島県 283.0人、で、少ないのは1.埼玉県 142.6人、2.茨城県 158.0人、3.千葉県 164.3人ということですので、京都と埼玉では医師の数が単純計算で2倍違っているということになります。

希望勤務地の求人量や求人の種類は?
したがって、医師が多い地域では当然のことながら求人の数は少なく、求人があっても給与も不足地域に比べればかなり下がる傾向があると言えます(もちろん例外もたくさんありますが・・・)。また医師が多い地域の中でも交通のアクセスがいいところ悪いところでは年収が大幅に違ってきます。

皆様もその辺の事情は何となく理解されているとは思いますが、希望の勤務エリアにおいてや求人量や求人の種類というのは、結構違うものです。

転職希望の皆様を見ていると、希望勤務地としては圧倒的に「東京都」というのが多いのですが、東京は医師が多い地域の一つなので、今地方で勤務されていれば転職を機に年収が下がってしまうこともあり得る訳です。もちろん交渉をしてみないと分かりませんが、転職活動をする上で、希望地域が、医師が多い地域かもしくは少ない地域かということはあらかじめ認識しておいた方が良いと思います。

人材紹介会社では皆様が希望するエリアや求人内容についても、マーケットの現状について無料で問い合わせが出来ると思いますので、転職はしたいけどまだ転職の具体的なイメージが湧かない方や忙しくていろいろな求人を探すことが出来ないと思われる方はぜひご相談されてはいかがでしょうか。

NO.2 求人のニーズを知る

皆様の世界では「新卒採用」「中途採用」という言葉はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、基本的に一般の企業においては、大学卒の新人を採用するのを「新卒採用」、社会人3年目以降の人間を採用することを「中途採用」と呼んでいます。(ちなみに社会人3年未満の採用を「第2新卒」と呼んだりもします)

医師免許取得後、勤務をすでにされている(研修を含む)皆様は求人側にとっては「中途採用」となるわけですが、「新卒採用」とはその意味合いが異なります。一言でいうと「新卒採用」は求職者の将来性を見るのに対し、「中途採用」は即戦力としての採用となります。つまり新卒採用については多少数合わせの部分があるかもしれませんが、中途採用の場合は「よい人」しか取らないというスタンスになっています(実際のところ医師が欲しくて欲しくてたまらないというような地方の病院はそうではないですが・・・)。

医師の場合は一般のサラリーマンの転職ほど激しくはないですが、それでも人気の地域(特に首都圏の病院)ではある程度医師を見る目は厳しくなります。

採用のポイントはなんだろう?
そこで中途採用における求人側の採用のポイントを以下に挙げます
(1) 医師の専門的な職務能力が、その病院の求めるものと一致しているか?
(2) 仕事に前向きに取り組める方か
(3) 人間性が高く、患者やコ・メディカルの方とうまくコミュニケーションができるか?

筆者も日々病院の担当者の方と「 求める医師像 」の話をよくしますが、どの病院も上のようなことを採用のポイントとされています。

当サイトに登録されている医師の中には初めての転職という方も大勢いらっしゃると思いますが、大学を卒業して医局や研修先の病院で受けたような面接と中途の面接は全然違うため、面接の場で相当に緊張される医師もいらっしゃいます。

今後有利な転職をするためにも「中途採用」の特徴を理解し、そのポイントに対し、自分がどう効果的にアピールできるかということは転職活動を進める上で非常に大事になってきます。

NO.3  転職を安易に考えない

皆様が転職をお考えになられ、具体的にアクションを起こされる前に考えていただきたいのは、“ なぜ自分は転職をしたいのか? ”ということです。転職理由については当然皆様方個々のご事情がある訳ですが、我々にご相談頂く医師の中でも「ちょっと待った」とお声をかけたいケースがあるということを、ご理解していただきたいと思います。

転職というのは結婚と同じということをよく言われることなのですが、要は、相手に対して過度な期待はかけてはいけないということです。赤の他人同士が結婚して、お互いの価値観が生活して初めて分かるというケースは枚挙に暇がないと思いますが、転職して内定した病院の事情は、実際入ってみなければ分かりません。当然入職して耐えられないようなギャップを回避するために面談や条件交渉などを事前にするわけですが、半年後や1年後、周りの先生方が大量に退職するなんてことが起こらないとも言えません。特にこれは医局に属し教授の厳しい指導のもと、低賃金で勤務されている方に多いです。市中病院に対して、医局に比べ条件も扱いもよい状況に過度に期待をされて入職したのはいいが、病院としてはかなり経営にうるさく、先生にもハイパフォーマンスを要求されてげんなりするというような事例は結構あります。したがって転職を決意した場合は、なぜ自分は転職をしたいのか?

転職に際して重視するものは何か?給与なのか、勤務地なのか、職場の雰囲気なのか?そういった転職理由の優先順位をあらかじめ設定しておき、それにある程度従って行動することが必要です。医局の雰囲気が嫌で、とにかく職場の雰囲気重視を優先順位の一番としていた医師が給与の高さにつられて転職したら大失敗だったというのはよく聞く話です。

また計画的にキャリアを積んでいくという意味での転職は病院関係者も理解いただきやすいですが、条件につられて転職を繰り返すというのは、医師の今後のキャリアにとってあまり歓迎されるものではありません。一般社会では“ジョブホッパー”と呼ばれます。特に1年単位で転職するといった短期での転職は求人から“人間関係が作れない医師”というレッテルを貼られかねないため、転職した医療機関では最低3年くらいは勤務する覚悟をお持ちいただきたいと思います。

NO.4  「医療機関側が医師を採用するポイントとは?」 を読む